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門脇 正尚; 堅田 元喜; 寺田 宏明; 永井 晴康
Atmospheric Pollution Research, 8(2), p.394 - 402, 2017/03
被引用回数:2 パーセンタイル:6.79(Environmental Sciences)世界版緊急時環境線量情報予測システム(WSPEEDI)は、粒子法による大気拡散モデルGEARNを用いている。総観規模より大きな計算対象領域においては粒子法のもつ統計誤差や計算機資源の確保が問題となる。本研究では、WSPEEDIの長距離の大気拡散シミュレーションにおける性能向上のために、有限差分法に基づく大気拡散モデルGEARN-FDMを開発した。移流拡散方程式は質量保存を満たす移流スキームとクランクニコルソン法で解かれる。水平拡散を計算するために、サブグリッドスケールの水平拡散の効果をパラメタリゼーションとして導入した。モデルの妥当性を欧州大気拡散実験データを用いて検証した結果、濃度分布や最大濃度の観測時刻、プリューム到達時刻は良好に再現された。計算による測定値の再現度を評価する統計値も、従来モデル同等以上の結果が得られ、モデルの妥当性を確認した。シミュレートされた水平拡散係数は沿岸や山岳で大きく、それらの場所をプリュームが通過するときに強い拡散が生じていた。水平拡散による輸送を正確にモデル化することは、放射性核種輸送計算をするうえで重要であることが示唆される。
山口 高志*; 堅田 元喜; 野口 泉*; 酒井 茂克*; 渡邊 陽子*; 植松 光夫*; 古谷 浩志*
Atmospheric Research, 151, p.82 - 92, 2015/01
被引用回数:18 パーセンタイル:48.5(Meteorology & Atmospheric Sciences)霧沈着による森林地帯への水・窒素供給を定量化するため、2006年から2012年までの植物成長期の日本北部の摩周湖の外輪山における霧化学性および沈着量を調べた。霧水とその粒径分布を自動霧捕集装置と粒径分光計を用いて測定した。過去に行われた酸性霧の暴露実験の結果に基づくと、本研究で観測された霧の酸性度が植物葉の損傷を引き起こすレベルには達していなかった。視程(VIS)と大気中霧水量(LWC)の関係は、夏季と秋季で異なっていた。この関係から経験的にフィッティングしたLWCの予測式と風速および植物パラメータから算出した沈着速度を用いて、この地域の霧沈着量を推定した。植物成長期間の霧による水および窒素沈着量は、それぞれ107-161mmおよび20-41meq mと推定された。
大久保 綾子; 武田 重信*; 小畑 元*
Atmospheric Research, 129-130, p.20 - 32, 2013/07
被引用回数:40 パーセンタイル:71.58(Meteorology & Atmospheric Sciences)西部北太平洋の春季における、大気降下物からの微量金属元素の供給を把握するために、同沿岸域における観測を行った。実測した結果、同域についてのモデリングによる結果の下限値と一致した。スカンジウムと鉄以外の微量金属元素は、大気降下物のpHの低下に応じて、溶解傾向が高くなった。アルミニウムと鉄について、スカンジウムで規格化した濃縮度係数を算出した。鉄にく比べてアルミニウムの方が、pHの低下に伴う溶解傾向が高いことがわかった。